気ままに歩く奈良県・天理「山の辺の道」
旅先では、その地の景色や町並みをゆっくり楽しみたい。先輩から奈良県ののどかな山道にリピーター続出の無人販売所があると教えてもらい、好奇心をくすぐられた私は週末にひとり旅で「山の辺の道」を訪れてみることに。京都駅から電車でJR三輪駅へ向かい、ハイキングをスタートさせた。
道草ばかりしてしまう、
日本最古の道。
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「山の辺の道」は、『古事記』『日本書記』に記されている“日本最古の道”。今回は、JR三輪駅から、天理市にある内山永久寺跡を目指して歩く。虫や鳥の鳴き声に耳を傾けながら、アップダウンの少ない緩やかな道を歩き進めた。
自分のペースで40分ほど歩いたところで、神社を発見。立ち寄ってみると近くに「桧原御休処」があったので、おはぎと自家製の梅ジュースでプチ休憩。休み休み行くのも楽しい。
自分のペースで40分ほど歩いたところで、神社を発見。立ち寄ってみると近くに「桧原御休処」があったので、おはぎと自家製の梅ジュースでプチ休憩。休み休み行くのも楽しい。
その後も至るところで無人販売所に遭遇し、ついつい寄り道してしまうハイキングに。ちょうど甘夏の無人販売所を見ていたところ、後から来た二人組が「この辺りに洋食屋があるらしいよ」と話していたのを聞き、私も向かってみることに。
美味しくてあたたかい、
自分らしさを思い出させてくれたレストラン。
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訪れたのは、山の辺の道沿いにある案内所・休憩所の天理市トレイルセンター内にある「洋食Katsui」。ちょうどお昼時で、活気のある雰囲気に圧倒されていると、「ちょっと待っててくださいね」とオーナーシェフの勝井さんが笑顔で話しかけてくれた。
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「洋食Katsui」は1999年に大阪心斎橋でオープンし、大人気だったそう。最前線を走り続けてきた勝井さんだが、45歳の時にこれからは遊びも仕事もバランスよく、のびのびと働きたいと思い、故郷の天理市での暮らしを考え始めたそう。そんな時に、ご縁があり移転を決意したという。
席につき、メニューを見ながらおすすめを聞いてみると、「自分が今食べたいものを頼むのが一番だよ」と勝井さん。
席につき、メニューを見ながらおすすめを聞いてみると、「自分が今食べたいものを頼むのが一番だよ」と勝井さん。
「暑いときは冷たいもの食べてみる、今日はごはんをおかわりしちゃおうかなとか。何事も自分がいいと思ったことをやってみたり、選んだりするのがいいと思うんだよね」。なるほど、私も今の気分にまかせて『エビフライ定食』を注文することに。
大きなエビフライを頬張りながら、“自分の直感に従ってみるのもいいかも”と、偶然出会えた味に思わず顔がほころぶ。「また遊びに来てよ」という勝井さんに手を振って、また山の辺の道を歩き始めた。
大きなエビフライを頬張りながら、“自分の直感に従ってみるのもいいかも”と、偶然出会えた味に思わず顔がほころぶ。「また遊びに来てよ」という勝井さんに手を振って、また山の辺の道を歩き始めた。
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唯一無二の憩いの場として
多くの人に愛される無人販売所。
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ちょっとひと息入れたいと思っていると、せんぎり大根の看板がある無人販売所「せんぎりや」を発見。
お店の前まで行くと、「はい、こんにちは」と店主の仲谷さんが声をかけてくれた。店名にも入っているせんぎり大根について聞くと、「昔、友達が『このせんぎり大根を売ってくれ』って持ってきたんですよ。それが最初で、それから自分の畑で作ってるもんとかも一緒に置き始めたんです」と仲谷さん。
お店の前まで行くと、「はい、こんにちは」と店主の仲谷さんが声をかけてくれた。店名にも入っているせんぎり大根について聞くと、「昔、友達が『このせんぎり大根を売ってくれ』って持ってきたんですよ。それが最初で、それから自分の畑で作ってるもんとかも一緒に置き始めたんです」と仲谷さん。
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私も休憩ついでにカット苺を購入。お店の奥へと進むとテーブルにノートが置かれていて、これまでせんぎりやを訪れた人々のメッセージが綴られている。「1週間に1回は読むんです。そこにビールを置いて欲しいとか書いてくれるから、それを参考にしてるんですよ」。
「きっとみんな仲谷さんのやさしさに癒されていると思います」と伝えると、「田んぼから帰ってきたら、絶対ここに顔を出すんです。それでちょっとでもお客さんと話す。私も十分癒されているんですよ」と少し照れ臭そうに話してくれた。
「きっとみんな仲谷さんのやさしさに癒されていると思います」と伝えると、「田んぼから帰ってきたら、絶対ここに顔を出すんです。それでちょっとでもお客さんと話す。私も十分癒されているんですよ」と少し照れ臭そうに話してくれた。
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仲谷さんと束の間のおしゃべりを楽しみ、せんぎりやをあとにした。
内山永久寺跡に到着し、無事ハイキングを終えた後は、宿泊する「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」へ。久しぶりに長く歩いたので、この日は部屋でゆっくり過ごして1日目を終えた。
内山永久寺跡に到着し、無事ハイキングを終えた後は、宿泊する「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」へ。久しぶりに長く歩いたので、この日は部屋でゆっくり過ごして1日目を終えた。
文化財の修理を間近で見学。
歴史を感じられる道の駅。
思いつきで始めたひとり旅もいよいよ終わり。すぐに帰るのも名残惜しく、ホテルに隣接する道の駅「なら歴史芸術文化村」に行ってみることに。
『文化財修復・展示棟』という掲示を見つけ、「奈良らしい、歴史的なものが見れるのかな…?」と何気なく立ち寄ると、目の前で文化財の修理作業をする技術者さんの姿が !
『文化財修復・展示棟』という掲示を見つけ、「奈良らしい、歴史的なものが見れるのかな…?」と何気なく立ち寄ると、目の前で文化財の修理作業をする技術者さんの姿が !
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ここでは県指定の文化財などの修理をしているんだそう。「歴史的建造物」、「考古遺物」、「絵画・書跡等」、「仏像等彫刻」の4分野の修復工房を自由に見て回れる。奈良らしい文化財を見るならまた別の機会かなと思っていたので、これは嬉しい。
そのあとも、道の駅内にある直売所や芸術文化体験棟にも足を運び、時間を忘れて満喫した。
そのあとも、道の駅内にある直売所や芸術文化体験棟にも足を運び、時間を忘れて満喫した。
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たくさん道草をしながら、日本最古の道を気ままに歩いた1泊2日の旅。偶然の出会いを楽しみながら過ごしたら、私らしい旅ができた気がする。
“寄り道の方が思い出に残ってる旅って、初めてかも…” 帰り道の電車に揺られながら、思わず笑みが溢れる。旅ってこういうことでいいんだなぁ。自分らしく過ごせる新しい居場所を手に入れた私は、これまでより自分の心に素直に、日々を楽しんでいけるような気がした。
“寄り道の方が思い出に残ってる旅って、初めてかも…” 帰り道の電車に揺られながら、思わず笑みが溢れる。旅ってこういうことでいいんだなぁ。自分らしく過ごせる新しい居場所を手に入れた私は、これまでより自分の心に素直に、日々を楽しんでいけるような気がした。