TRIP BASE STYLE

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BASE 08

たくさん寄り道
したくなったときの
居場所。

奈良県天理市

気ままに歩く奈良県・天理「山の辺の道」

旅先では、その地の景色や町並みをゆっくり楽しみたい。先輩から奈良県ののどかな山道にリピーター続出の無人販売所があると教えてもらい、好奇心をくすぐられた私は週末にひとり旅で「山の辺の道」を訪れてみることに。京都駅から電車でJR三輪駅へ向かい、ハイキングをスタートさせた。

道草ばかりしてしまう、
日本最古の道。

目の前に広がるのは柿とさくらんぼの木なんだとか。収穫したフルーツはパウンドケーキなどに加工して、お店で販売しているそう。
「山の辺の道」は、『古事記』『日本書記』に記されている“日本最古の道”。今回は、JR三輪駅から、天理市にある内山永久寺跡を目指して歩く。虫や鳥の鳴き声に耳を傾けながら、アップダウンの少ない緩やかな道を歩き進めた。

自分のペースで40分ほど歩いたところで、神社を発見。立ち寄ってみると近くに「桧原御休処」があったので、おはぎと自家製の梅ジュースでプチ休憩。休み休み行くのも楽しい。
その後も至るところで無人販売所に遭遇し、ついつい寄り道してしまうハイキングに。ちょうど甘夏の無人販売所を見ていたところ、後から来た二人組が「この辺りに洋食屋があるらしいよ」と話していたのを聞き、私も向かってみることに。

美味しくてあたたかい、
自分らしさを思い出させてくれたレストラン。

緑のバンダナが似合う勝井さん。まるで昔から知り合いかのように気さくに話しかけてくれて、あたたかい気持ちに。
訪れたのは、山の辺の道沿いにある案内所・休憩所の天理市トレイルセンター内にある「洋食Katsui」。ちょうどお昼時で、活気のある雰囲気に圧倒されていると、「ちょっと待っててくださいね」とオーナーシェフの勝井さんが笑顔で話しかけてくれた。
テラス席を発見。季節折々の花を楽しみながら食事が出来る特等席。この日は八重桜とツツジが満開だった。
「洋食Katsui」は1999年に大阪心斎橋でオープンし、大人気だったそう。最前線を走り続けてきた勝井さんだが、45歳の時にこれからは遊びも仕事もバランスよく、のびのびと働きたいと思い、故郷の天理市での暮らしを考え始めたそう。そんな時に、ご縁があり移転を決意したという。

席につき、メニューを見ながらおすすめを聞いてみると、「自分が今食べたいものを頼むのが一番だよ」と勝井さん。
「暑いときは冷たいもの食べてみる、今日はごはんをおかわりしちゃおうかなとか。何事も自分がいいと思ったことをやってみたり、選んだりするのがいいと思うんだよね」。なるほど、私も今の気分にまかせて『エビフライ定食』を注文することに。

大きなエビフライを頬張りながら、“自分の直感に従ってみるのもいいかも”と、偶然出会えた味に思わず顔がほころぶ。「また遊びに来てよ」という勝井さんに手を振って、また山の辺の道を歩き始めた。
エビフライはもちろん、あつあつの白ごはん、味噌汁を口にするとお腹も心もエネルギー満タンに。

唯一無二の憩いの場として
多くの人に愛される無人販売所。

ハイキングコースを歩いている人も、たくさん中へと入っていく。
ちょっとひと息入れたいと思っていると、せんぎり大根の看板がある無人販売所「せんぎりや」を発見。

お店の前まで行くと、「はい、こんにちは」と店主の仲谷さんが声をかけてくれた。店名にも入っているせんぎり大根について聞くと、「昔、友達が『このせんぎり大根を売ってくれ』って持ってきたんですよ。それが最初で、それから自分の畑で作ってるもんとかも一緒に置き始めたんです」と仲谷さん。
せんぎり大根の他にも、缶ビールやアイスも売っており、一番人気がカット苺なんだそう。無料のお茶などもテーブルに置いてあり、仲谷さんのやさしさを感じる。
カット苺は仲谷さんの奥さんがきれいに洗って、カットしてくれているそう。夏にはスイカが登場するんだとか。
私も休憩ついでにカット苺を購入。お店の奥へと進むとテーブルにノートが置かれていて、これまでせんぎりやを訪れた人々のメッセージが綴られている。「1週間に1回は読むんです。そこにビールを置いて欲しいとか書いてくれるから、それを参考にしてるんですよ」。

「きっとみんな仲谷さんのやさしさに癒されていると思います」と伝えると、「田んぼから帰ってきたら、絶対ここに顔を出すんです。それでちょっとでもお客さんと話す。私も十分癒されているんですよ」と少し照れ臭そうに話してくれた。
ハイキング中は、すれ違う人たちと「こんにちは」と挨拶を交わす。みんなで励まし合っているような気がして、疲れも和らぐ。
仲谷さんと束の間のおしゃべりを楽しみ、せんぎりやをあとにした。

内山永久寺跡に到着し、無事ハイキングを終えた後は、宿泊する「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」へ。久しぶりに長く歩いたので、この日は部屋でゆっくり過ごして1日目を終えた。

文化財の修理を間近で見学。
歴史を感じられる道の駅。

思いつきで始めたひとり旅もいよいよ終わり。すぐに帰るのも名残惜しく、ホテルに隣接する道の駅「なら歴史芸術文化村」に行ってみることに。

『文化財修復・展示棟』という掲示を見つけ、「奈良らしい、歴史的なものが見れるのかな…?」と何気なく立ち寄ると、目の前で文化財の修理作業をする技術者さんの姿が !
修理作業を間近で見ることができるほか、伝統的な工具も展示されている。手際よく作業をすすめる姿に思わず「すごい…」と心の声が漏れていた。
ここでは県指定の文化財などの修理をしているんだそう。「歴史的建造物」、「考古遺物」、「絵画・書跡等」、「仏像等彫刻」の4分野の修復工房を自由に見て回れる。奈良らしい文化財を見るならまた別の機会かなと思っていたので、これは嬉しい。

そのあとも、道の駅内にある直売所や芸術文化体験棟にも足を運び、時間を忘れて満喫した。
立ち寄ったいろんな無人販売所の写真も思い出。帰ってこの甘夏を食べるのが楽しみ。
たくさん道草をしながら、日本最古の道を気ままに歩いた1泊2日の旅。偶然の出会いを楽しみながら過ごしたら、私らしい旅ができた気がする。

“寄り道の方が思い出に残ってる旅って、初めてかも…” 帰り道の電車に揺られながら、思わず笑みが溢れる。旅ってこういうことでいいんだなぁ。自分らしく過ごせる新しい居場所を手に入れた私は、これまでより自分の心に素直に、日々を楽しんでいけるような気がした。

旅のスナップ

今回のスポット紹介

桧原御休処

奈良県桜井市大字三輪1330-1
0744-43-7633

洋食Katsui 山の辺の道

奈良県天理市柳本町577-1 天理市トレイルセンター
0743-67-3838

せんぎりや

奈良県天理市乙木町236
0743-66-0810

道の駅 なら歴史芸術文化村

奈良県天理市杣之内町437-3
0743-86-4420

奈良天理山の辺の道

を拠点に楽しめる体験
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フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道

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ここがオススメ

  • 古都奈良にある「道の駅 なら歴史芸術文化村」に隣接
  • なら歴史芸術文化村では文化財保存や修復などの貴重な技術を間近にふれられる
  • 隣接する古道「山の辺の道」を散策すると、古代ロマンの世界に誘われる
  • 大人の方1名様につき、小学生以下のお子様1名様の無料添い寝が可能
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