海に学びと発見をもらう、和歌山・串本旅
小5の娘が学校で水産業について学んだらしく「知ってる?マグロって“養殖”もあるんだって ! 」と楽しげに話す。すると夫が思いついたように「実際にマグロ養殖をしてるところ、行ってみる?」すかさず「行く ! 」と、マグロ大好きな娘の声が響き、今週末の家族の予定が決まった。
大阪から車で約3時間。養殖体験は明日の朝9時からのため初日はゆっくり過ごそうと、まずは観光相談に乗ってくれるという南紀串本観光協会へ。はじめて串本に来たんです、と伝えると「串本では、いろんな海の顔が楽しめるんです。たとえば西側にはサンゴ群落が生息していて、シュノーケリングで潜ると沖縄の海と変わらない景色が見られますよ」と、事務局長の宇井さん。どおりで海が綺麗だよね ! と盛り上がる。
昼食におすすめのお店を尋ねると「おざきのひもの」を勧めてくれた。海の目の前にある干物屋さんで、売られている干物を焼いて定食にしてくれるんだとか。ありがとうございます ! とお礼を伝え、さっそく車を走らせる。
昼食におすすめのお店を尋ねると「おざきのひもの」を勧めてくれた。海の目の前にある干物屋さんで、売られている干物を焼いて定食にしてくれるんだとか。ありがとうございます ! とお礼を伝え、さっそく車を走らせる。
目利きが生み出す、絶品干物に舌鼓。
「おざきのひもの」は、干物と銘打ちながらも、干物定食だけでなくまぐろ丼やしらす丼など、おいしそうな魚介がたくさん。
娘にさばみりんを分けてあげると、「干物って、こんなにおいしいの!? 」と驚く。お店にちょうどいらっしゃった社長の尾﨑さんにその秘訣を聞くと「昭和24年の創業時から、色・艶・鮮度にこだわって、プロが目利きした魚を仕入れてます。早朝、目の前の漁場で水揚げされた新鮮な魚を加工場に運び込んで、一枚一枚加工してるんですよ」と教えてくれた。
娘にさばみりんを分けてあげると、「干物って、こんなにおいしいの!? 」と驚く。お店にちょうどいらっしゃった社長の尾﨑さんにその秘訣を聞くと「昭和24年の創業時から、色・艶・鮮度にこだわって、プロが目利きした魚を仕入れてます。早朝、目の前の漁場で水揚げされた新鮮な魚を加工場に運び込んで、一枚一枚加工してるんですよ」と教えてくれた。
「お客様のように定食を食べて、おいしい ! と言って買って帰られる方も多いですよ。さばみりんは小骨が少なくて、お嬢さんも食べやすいですよね。独自の醤油だれの味付けも自慢です」と束の間のおしゃべりも楽しんだ。
お腹いっぱいになった後は道の駅で夕食用にめはり寿司を購入しつつ、明日に備えて早めにホテルにチェックイン。
部屋に入ると、橋杭岩が目の前に ! その後行った近くの温泉でも、露天風呂から夕暮れの橋杭岩を見ることができ、娘とまた感動。串本の海がつくり出す景色に魅了されながら、明日の養殖体験に期待がますます高まった。
部屋に入ると、橋杭岩が目の前に ! その後行った近くの温泉でも、露天風呂から夕暮れの橋杭岩を見ることができ、娘とまた感動。串本の海がつくり出す景色に魅了されながら、明日の養殖体験に期待がますます高まった。
船に乗り、養殖体験へ出発 !
お待ちかねの養殖体験当日。集合場所の港で出迎えてくれたのはインストラクターの山崎さん。
まずはここで、マグロ養殖についてのレクチャーを受ける。
まずはここで、マグロ養殖についてのレクチャーを受ける。
「マグロ養殖への挑戦は50年ほど前にここ、串本で始まりましたが当時は“月へ行くほうが簡単”なんて言われてました」「今ではマグロがずっと泳ぐなんてことは一般的ですが、これも養殖を始めて、生簀でマグロを日々観察して初めて解ったことなんですよ」未知なるマグロ養殖の世界に、娘も聞き入っている様子だ。
10分ほどのレクチャーの後「では、船に乗りましょうか ! 」と山崎さん。いよいよだねと、3人で顔を見合わせた。
10分ほどのレクチャーの後「では、船に乗りましょうか ! 」と山崎さん。いよいよだねと、3人で顔を見合わせた。
勢いよく餌に喰らい付くマグロは、大迫力。
船から生簀を覗くと、水中にたくさんのマグロが ! 「何匹いるんですか?」と娘が聞くと「250匹くらいかな。快適に泳げるように、生簀の深さは15mくらいにしてあるんだよ」と山崎さん。
「今はジェット機で生簀に餌を飛ばしていますが、体験してもらうのは昔ながらのやり方です」そう言ってイワシが大量に入った箱を出してくれるも、いざ目の前にすると少し緊張ぎみの娘。まずは私たちがやってみるねと、夫とそれぞれ挑戦することに。
レクチャー通りに網を入れると、案外簡単にイワシを掬うことができた。とはいえこれを投げるなんて初めてのこと。
うまく入るかな?と内心ドキドキしながらも、「がんばれー ! 」と夫と娘の声援を受け、思い切って網を振り上げた。
レクチャー通りに網を入れると、案外簡単にイワシを掬うことができた。とはいえこれを投げるなんて初めてのこと。
うまく入るかな?と内心ドキドキしながらも、「がんばれー ! 」と夫と娘の声援を受け、思い切って網を振り上げた。
水面に餌が着地したその瞬間、バシャバシャッ ! とマグロが勢いよく踊り出る。餌めがけて、激しく水飛沫を上げながら泳ぐマグロは迫力満点。
「私もはやくしたいー ! 」と娘も大はしゃぎ。さっきの緊張はすっかり忘れてしまったようだ。
3人夢中で投げ入れていたら、いつの間にか餌の箱は空っぽに。再び船で港へ戻り、体験の締めとなる試食会場「水門まつり」へ。
「私もはやくしたいー ! 」と娘も大はしゃぎ。さっきの緊張はすっかり忘れてしまったようだ。
3人夢中で投げ入れていたら、いつの間にか餌の箱は空っぽに。再び船で港へ戻り、体験の締めとなる試食会場「水門まつり」へ。
体験に思いを馳せながら、養殖マグロを実食。
窓から見える海を眺めながら、「お刺身楽しみだな〜 ! 」と娘。するとお店の方が「いろんな困難を乗り越えて、やっとの思いで養殖に成功したマグロだからね。ぜひ味わってみて ! 」と、さっそく養殖マグロの刺身盛を1人ずつ出してくれた。
ほどよく脂が乗り、ふっくらと柔らかいマグロ。「養殖マグロも、人が育てたブランド牛と同じ感覚で楽しんでもらいたいって言ってたけど、これは納得だね」と夫。私も今まで何気なくマグロを食べていたので、これからは種類や産地で食べ比べしてみるのも楽しそうだ。
「今まで食べたマグロで、いちばん美味しい」そう呟いた娘を見て、山崎さんの言葉をふと思い出す。“あなたの子どもにも、そのまた次の世代にも、美味しいマグロや刺身の文化を残していきたい”。
ほどよく脂が乗り、ふっくらと柔らかいマグロ。「養殖マグロも、人が育てたブランド牛と同じ感覚で楽しんでもらいたいって言ってたけど、これは納得だね」と夫。私も今まで何気なくマグロを食べていたので、これからは種類や産地で食べ比べしてみるのも楽しそうだ。
「今まで食べたマグロで、いちばん美味しい」そう呟いた娘を見て、山崎さんの言葉をふと思い出す。“あなたの子どもにも、そのまた次の世代にも、美味しいマグロや刺身の文化を残していきたい”。
娘のためにと思って訪れた串本だったけど、私自身もなんだか前より視野が広がったみたい。
美しい海とその恵みを、またこうして3人で味わいたいな。
美しい海とその恵みを、またこうして3人で味わいたいな。